今回はいよいよ最終話、息子のTOLAC出産レポです。
TOLAC(トーラック)とは、帝王切開を経験した人が、次の出産で自然分娩(経腟分娩)に挑戦すること。
そして挑戦の末、無事に自然分娩で産めたら、それはVBAC(ブイバック)と呼ばれます。
つまりこの記事は、「一度帝王切開をしたら、次からもずっと帝王切開」と言われることが多い中で、TOLACに挑戦してVBACにたどり着くまでのお話です。

※最初に大事なお断りを。TOLACには子宮破裂などのリスクがあり、実施できる病院も、挑戦できる条件も限られています。「挑戦できるかどうか」も含めて、必ずお医者さんとよく相談して決めるものです。これはあくまで、条件が揃った私の一例として読んでくださいね。
伏線は、次女を産んだ直後から
次女を帝王切開で出産した直後。入院中、助産師さんにこう聞いたんです。
「今回帝王切開したから、ここからもう妊娠したらずっと帝王切開ですよね?」
「そうだね。少なくともここでは産めないし、やる人も少ないからね」
そうだよな〜。と思いながら5年。——そして、5年ぶりの妊娠発覚。
嬉しさの中でよぎったのは、「自分はどうやって産むことになるんだろう」でした。
院長先生の答えは「お勧めしない」
妊娠初期は、長女・次女もお世話になった地元のクリニックで診てもらっていました。
もう顔を覚えていただいてるくらい通った病院。安心感はピカイチで、本当はここで産みたいなと思っていました。
院長先生に聞いてみました。「TOLACって、どう思いますか?」
「その人が選ぶことが全てだけど、僕はお勧めしない。少なくともここでは実施できないから、望むなら市立病院へ紹介状を書くよ」

やっぱりハードルが高いのか。頭の中では、帝王切開で産む自分を想像していました。
28週。「脳室にお水が溜まってるようにも見える」
28週ごろの健診で、先生に言われました。
「赤ちゃんの脳室に少しお水が溜まってるようにも見えるから、市立病院に紹介状を書くから行っておいで」
そんな経験は初めて。すごく心配になった私は、職場にも時間をもらってすぐに市立病院へ。
私のお腹ごしにMRIを撮ってもらえることに。結果は「今はそこまでの異常はない」とのことでした。

ほっとしたと同時に、「もしも生まれてから経過観察が必要なところが見つかったら、、」と生まれた後のことまで考えたのです。
それなら、新生児科や小児科がしっかりしている市立病院で産もう。
馴染みのある病院から変わるのは少し不安もあったけれど、思い切って転院を決めました。
34週。ふと聞いた、あの質問
帝王切開で産むつもりで、検査も入院説明も済ませた34週ごろ。
エコーでお腹を診てもらっているあの無防備な時間にふと、最初のクリニックの院長先生にしたのと同じ質問をしてみたんです。
すると大学病院の先生は——
「確かに大きなリスクを考えると帝王切開の方が安全と言いたくなるけれど、正直どちらにしてもリスクはある。帝王切開にも合併症とかあるからね」
「ひこまろママさんの場合を考えたら、1人目を自然分娩しているという強みもあるし、挑戦はできると思うよ」
「やってみてもいいし、どちらでもいいと思うよ」——その返答に、あれだけ高く感じていたハードルが、すっと下がった感覚がありました。

もちろんリスクはある。でも、2通りの出産を経験して思い返しても、私は帝王切開が怖かった。
旦那との話し合いの結果、35週に差し掛かると同時に、挑戦することに決めました。
37週。内診ぐりぐりと「お知らせしといたよー」
そうと決めてからは、心のとっかかりが取れたような気持ちで、穏やかに過ごしていました。お腹を撫でて「がんばろうね〜」と。
37週の健診では内診台に上がると、ここでまたもや初めての経験。噂の「内診ぐりぐり」
痛いと聞いていたけど、私は痛みというより苦しい感じ。

「赤ちゃんの頭さわって、もう出てきていいよって知らせておいたからね〜」

頭!?触れるの!?😳
そしてその日の夜、お風呂に入ろうとしたら、まさかのおしるしが。
でも長女の時はおしるしから前駆陣痛4日だったので、「とはいってもまだでしょう」と。
しかも2日後には次女の保育参観、その2日後には長女の授業参観と懇談会という、てんこ盛りスケジュール。そこまでは、、息子よ、よろしくね!と。(笑)
保育参観で、まさかの違和感
2日後の次女の保育参観には無事参加。
一緒に体操をするシーンで——ん?なんか、水っぽいのが出てる気が、、
気のせいか?と思っていましたが家に帰ってからも、その感覚はだんだん強くなりました。
これが噂に聞く、、「破水?」
でも「まだわからないし、旦那にも実母にも仕事を切り上げてもらうの申し訳ないよな。」とすぐに連絡しなかったのですが、「破水」で調べたら感染症が心配と出てきて、一応言っておこうと2人に連絡。
そうこうしていたら、けっこう水が出てくるように。
病院に電話すると「破水だと入院なので、入院セットを持ってきてね」とのことで子ども達を実母にお願いし、急いで主人と病院へ。
診てもらった結果——「高位破水」。そのまま入院になりました。

子どもたちに「入院になったら、パパと協力して頑張ってね」と伝えると、長女は「わかった!ママも頑張ってね!」と。次女の時とはまた違って、頼もしくなっていました。
TOLACは促進剤が使えない。陣痛よ、来い!
案内されたのは「陣痛室」。この病院では、TOLACの場合は、陣痛促進剤が使えないとのこと。自然な陣痛を、ただ待つしかありません。
しかも破水しているので、「24時間以内に陣痛が来なかったら帝王切開かも」と。
——またもやチラつく帝王切開。
それとは別で考えないといけないことも。子供達の学校、幼稚園の送迎や行事問題。
長女の授業参観はパパに任せて、次女は幼稚園の預かり保育をお願いして。長女次女の出産の時と比べるとそういったことの調節が大変でした。
その後主人は一旦帰宅。まだまだ痛くない私は病院の夕飯もペロリといただきました(誰かが作ってくれたご飯、最高)。
抗生剤の点滴もしてもらって、ひたすら待つこと8時間。
深夜、ひとり陣痛。武士、再び
夜中の1時半。じわじわと迫っていた痛みがとうとう10分間隔に。
助産師さんは「今のうちに寝ておきな」と言うけれど、間隔が気になって全然眠れず。気がつくと5分間隔。
今回はテニスボール要員の主人がまだいません。「一回呼ぶと出られないから、ギリギリに呼んだ方がいい」とのことで、薄暗い分娩室、モニターの音と時計の秒針しか聞こえない静かな空間で1人で耐えること4時間。
自分でテニスボールをお尻に当てて、いきみ逃し。呼吸を整える。まさに、、苦行。
朝の5時半、子宮口7センチ。いよいよ「旦那さんを呼ぼうか!」とのことで、主人召喚。
なるべく動いたり、陣痛用の椅子に座ったり、陣痛が遠のかないようにするのですが、、とにかく痛い。
子宮を雑巾みたいに思いっきりしぼられてるようなその痛みに「こっ、、こんなに痛かったっ!?」と自分の記憶力を疑いました。(笑)

かくいう主人は6年ぶりとはいえ、1人目の時より要領を得ておりさすってほしいところをピンポイントでさすってくれました。
もうナースコール事件は起きません(笑)。しっかりサポートしてくれました。
分娩台。デジャブと、武士の叫び
そしていよいよ分娩台へ。
いきむ → 休む → すぐ陣痛! → いきむ、、、。繰り返すこと5回ほど。
「ちょっと陣痛遠のいちゃったから、一回横向こうか」
でた!”上向くと陣痛遠のく現象”(長女の時もそうでした笑)
横向き体制で陣痛を再び待ち、子宮を雑巾絞されるこの苦行に耐えかねて初めて叫びました。
「もう切ってください!!」
まさかの切腹懇願。ここまで頑張ったのに。(笑)
そしてあと一息というところで、「頭が完全に出ない〜!」と、助産師さんたちさえ苦戦。
これが促進剤の力を借りずに産むということなのか。薬ってすごい。医療ってすごい。と頭の隅で思いました。
主人と助産師さんたちに応援され支えられ分娩体位で約1時間。ついに——
息子、爆誕!
これまで、生まれた瞬間は割と抜け殻だった私ですが、経緯が濃すぎたからか、大号泣(笑)。
「よかったよーーーー」って、本当に安心しました。

初めて見た胎盤と、感じた帝王切開との違い
2時間の安静時間。喜びと疲労の狭間で意気消沈していた私たちに、バースプランで伝えていたこともあって、助産師さんたちが見せてくれたものがあります。
——胎盤。ここで初めて見ました!
1つの臓器でした。こんなものを作り上げる母の体って、すごい。そしてこどもと共にこれを産んだ私も、すごい。
その日は息子が保育器に入ったこともあり、翌日までゆっくり過ごしました。そこで驚いたのが、回復の速さ。
やっぱり帝王切開よりもはるかに早く感じました。次の日には難なく歩ける、おしっこに行ける。それが本当にありがたかった。
地味に休まらなかったのが、主人からの電話(笑)。
ちょっと寝ようかな、、と思ったら「長女って学校で何必要なの?」「次女ってバス何時だっけ?」「息子の買い物、何必要?」って。
ちゃんとメモに残しておけばよかったなと思いました(笑)
退院。感動の再会、、?
5日間の入院生活が終わり、息子と自宅へ。毎回この”赤ちゃんと一緒に帰る”瞬間、幸せを感じます。生まれてきてくれてありがとう。
学校と幼稚園を終えた子どもたちにサプライズで会うと、向かった先はママの胸の中、ではなく——
ベビーラック。「赤ちゃんは!?」とママスルー。(笑)

初めて赤ちゃんを見た2人は、ぱああっと表情が明るくなり、「小さい!!」と言っていました。
こうして、3きょうだいの物語が始まったのでした。そのエピソードは、これからいろいろ書いていこうと思います。
まとめ:VBACして思うこと
今回いろんなきっかけがあってたどり着いたVBAC。
挑戦して思うことは、挑戦してみてよかったということです。
もしかしたら帝王切開になっていたかもしれない。もっと大変なことが起こっていたかもしれない。
そうであっても、挑戦してみてよかった。と私は思いました。
どうやって産んでも、変わらないこと。それは、どの出産も赤ちゃんと自分が選んだ最善であるということだと私は思います。
もしいま「TOLACって実際どうなんだろう」「自分はどうやって産むことになるんだろう」と不安な方がいたとしたら——選択肢のこと、リスクのこと、遠慮せずにお医者さんにたくさん質問してみてください。

TOLACを行っている病院の説明資料も参考になりますよ(PDF)🌸
無痛分娩、和痛分娩、計画分娩、、。私も経験したことのない出産方法を考えている方も、”自分や赤ちゃんが望む出産方法ってなんだろう”の答えが意外なきっかけで見えてくるのかもしれません。

出産レポはこれで完結です。1人目・2人目の話はこちらから。



*せんせいのおたすけコーナー*
今回紹介するのは、、、『テニスボール』です🎾(笑)
出産レポを最終話まで読んでくださった方にはお馴染み、長女と息子の出産で戦ってくれた私の相棒です。
陣痛中にお尻に当てて押すと「いきみ逃し」ができる、出産準備の定番アイテム。
次女の時(帝王切開)では使ってない、、かと思いきや!使ってるんです。というのもこれ、テニスボールを二つ繋げて腰と床の間において寝転がると、気持ちいい。逆子を支えてきた腰の、産後の痛みを和らげてくれました。もう、大好き。(笑)
数百円で買えるので、妊婦さんはだまされたと思って入院バッグにひとつ入れてみてください。
陣痛の最中、テニスボールに後光が刺して見えるくらい、「あってよかった」と思う瞬間がきっと来ます。🌸



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